【講座概要】
この講座では、18世紀スコットランドの哲学者、アダム・スミスについて学びます。
アダム・スミスと言えば、一般的には、『国富論』を出版した「経済学の父」として広く認識されているのではないかと思います。このことは、スミスという哲学者の重要性あるいは現代的意義のようなものを示唆していると言えるでしょう。例えば、私たちの日々の生活に経済が大きく影響を及ぼしているとすると、経済を理解することは重要な問題であると言えますし、そのために、経済学の源流とも言えるスミスに立ち返ることは、経済を理解する上で一つの重要な作業になると考えられます。
他方で、広く名前の知られた他の多くの哲学者と同じように、時に不当な仕方で単純化されてスミスの経済思想が理解されてきたということも否定できません。一例としては「見えざる手(invisible hand)」の作用を信じた経済的自由主義者としてのスミス、というイメージが挙げられるでしょうか。スミスの議論を正確に理解するという意図をもって『国富論』に向き合うと、そのような見方では捉えきれない多くの側面を見出すことができるのではないかと思います。実際に、多くのスミス研究者は、そのようにスミスを単純化して理解することの問題点を指摘してきました。
一般に広く流布しているイメージを修正するという点で言えば、『国富論』のみを重視するような「経済学の父」という見方を修正する動きも、スミス研究では長らく続いています。そうした動きが進展する中で、今では、スミスの最初の著書である『道徳感情論』から学生の講義ノートや遺稿集にまで研究の範囲は及び、倫理学から科学、文学、認識論に至るまで幅広い関心をスミスが持っていたことが明らかにされています。
本講座では、このように多様な領域に渡るスミスの思想に内在的に迫ることで、スミスの思想に対する理解を深めるとともに、経済を含む様々なトピックについて考える際の手がかりを探ることを目指します。
オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」を用いて行います。
*第一回講座開講までに申し込み者が3名に満たない場合、2回目以降は不開講となる可能性があります。
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タイトル:アダム・スミス入門
- 初回日時: 2025年9月5日 (金) 19:30 – 21:00
日程 : 9月‐12月の第1金曜日(9/5、10/3、11/7、12/5)
場所 : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)
参加費: 全4回 一般8,000円/学生4,000円
※学生でお申し込みの方は、
(1)当日までに、学生証の画像・写真をinfo@kuniken.orgまでメール添付にてお送りいただくか、
(2)お申込み時のアンケートフォームの「学生確認用メールアドレス記入欄」に、大学などの在籍先が発行したメールアドレスをご記入ください。
- 各回の予定
第一回:アダム・スミスと哲学-『哲学論文集』
第二回:道徳について考える-『道徳感情論』
第三回:法について考える-『法学講義』
第四回:経済について考える-『国富論』
- 参考文献
水田洋『アダム・スミス-自由主義とは何か』講談社、1997.
D. D. ラフィル(生越利昭・松本哲人訳)『アダム・スミスの道徳哲学-公平な観察者』昭和堂、2007.
ニコラス・フィリップソン(永井大輔訳)『アダム・スミスとその時代』白水社、2014.
カトリーン・キラス=マルサル(高橋璃子訳)『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』河出書房新社、2021.
太田浩之『アダム・スミスの道徳理論-人間の複雑性と道徳判断』勁草書房、2024(2022年度KUNILABO人文学学位論文出版助成助成対象). - 講師
太田浩之(おおた ひろゆき)
東洋大学・文学部哲学科・助教。専門は、アダム・スミスを中心とした近代イギリス哲学。
著書に、『アダム・スミスの道徳理論―人間の複雑性と道徳判断(KUNILABO人文学叢書 2)』勁草書房など。 - オンライン会議室ご招待状: チケットご購入の方に、Peatixの自動送信メールにてご案内いたします。
※チケット購入の際にアンケートへのご記入をお願いいたします。
※ご不明な点がございましたら、Peatixのメッセージ機能を用いるか info@kuniken.org までお問い合わせください。 - Peatixチケット購入締切: 講座最終回の終了時21時00分まで販売しております。途中からお申込みいただいた方には終了した回の見逃し配信のご案内をお送りいたします。
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KUNILABOではほかにもいろんなオンライン講座を企画中です。詳細が決まり次第ご案内いたします。ご期待ください。